| Vol 14 |
オークションといえば-
皆さんはオークションといえば、プロ、アマ問わず誰でもが参加できる「ビッタース」や「ヤフー」「楽天」などに代表されるネットオークションを連想されるのではないでしょうか。花業界人にはセリという言葉の方がピッタリとして受け入れやすい。
フグで有名な下関の魚市場でのフグのセリは袋の中に手を入れて値段を競います。これもオークションです。また、今はどうか定かではありませんが、チョット昔、名古屋のある花市場のセリ売りではセリ人と買った人しか解らないセリ方法でした。声も無い"手ヤリ"で、セリ人は競り落とした価格を言いません。
プロである私が見てもいくらで売られているのか解らないのです。「おいおい今のいくらだった?」といった具合です。当事者が解ればそれでいいと言うことなのでしょうね。これもオークションです。
(解説)手ヤリ:指で数字をあらわすこと。
次に自動車のオークションが有名です。オークションルームと衛星回線で全国のカーディーラーショップと繋がっています。オンタイムで競売に参加できます。花もありますが、実際の成果はまだまだといったところです。これもオークションです。
青果市場も肉市場もセリが原則です。もちろん花市場もです。セリシステムの新、旧はありますが、これらの業界の人たちはオークションという取引方法を身近に感じて仕事をしています。
また、どんなに新旧入り混じったオークションであろうが、安いか高いかなどの相場という生き物を相手にしていることに変わりません。プロ、アマ混同のネットオークションと業界色の強いオークション(セリ)との違いは、そのスピードにあります。出品された商品の取引成立、不成立が瞬時に決まる世界がプロの世界です。
つまり、そのスピードに対応するためには相場情報というものが無ければ、適正な価格では手に入れることは出来ない。プロとアマチュアの差は相場観という事になりますね。
◆ オークションと経済状況
昨今の経済情勢から見ればオークションとは買う場所であり、売る場所ではない。なぜならば、インフレでは売り手優位、デフレでは買い手有利となるからである。つまりインフレは物が足らないから貨幣価値が下がる。先に買わないと値上がりする恐れがある。後になればなるほどお金がかかる。
反対にデフレ市場は物余り現象が顕著にあるから待っていた方が得策となる。慌てず、「待てば回路の日和あり」である。物より貨幣価値が上がると言うことだ。
◆花市場の戦略
ちょっと前振りが長かったが、オークションと経済状況の因果関係で商物一致の原則オークション(せり売り)を主流としてきた花の卸売り会社(市場)の対応は如何にと言うことが今回のメルマガの題材である。
いくら商物一致のセリ方法が原則とはいえ、昨今の物余りや価格低下傾向に指をくわえてみているわけにも行かず、花市場は存続をかけて販売方法の多様化に取り組んでいる。数年前に市場法の改正を期に、益々、その動きを水面下で活発化させている。
注文相対、予約相対、営業卸販売(FAX・TEL)など、一般的花商にとっては普段あまり経験することのない販売現場での話だ。つまり普段買う側の目には中々見えにくい取引現場でのことだ。ということで時代の尖兵的な意味合いで使われるインターネット販売(ウェブ取引)について書いてみようと思う。
■花市場の憂鬱
花市場にとっては死活問題であるのだ。際限無く出荷される荷物を、コストも時間もかかる商物一致を原則とするセリ売りに上場していれば、セリ場は荷物であふれかえり、希望相場の半分も維持できれば上出来と言う結果になり暴落である。
こうなれば生産者も困る、市場も困る、花商も長い目で見れば困る。三者困るという図式になる。つまり業界全体が縮小するということである。
そのため花市場ではセリ売りという現場へ荷物を出さないようにする努力をする羽目になる。一種の出荷調整だ。これを実行するには、セリ前の販売を強化しなければならない。その際の強力な武器がインターネットを介してのウェブ取引である。
今の所は始まったばかりで目立った様子には見えないが、確実にそのシステムをスタンダードの地位まで確立することは時間の問題といえるだろう。
実際に、このウェブ取引を開始した市場は、全国的に見て前年対比が軒並みダウンの傾向にある他市場を横目に順調に売上を伸ばしている。間違いなくセリ売上比率よりもセリ前販売比率の方が勝っているようだ。もちろんウェブだけの営業努力ではないが……・。
今のところは買参権という市場法の規制があるため、大手を振って市場外へ(自由販売)向けて打って出ることは出来ないというもどかしさはあろうが、商品規格という定義やせり売りとセリ前売りの比率厳守という市場法の枠の不透明さも包括しながら着実にその勢力を伸ばしつつあるというのが現状だろう。
そして、将来この忌々しい市場法が解ければ、勝ち組、負け組の線引きが確実に起ることは確実だ。また虎視眈々とその機会を狙っている花市場もいるのではないかと思う。いや、もう始まっていて勝敗はついているのかも知れない。
総括としてこれら相対と称する取引に優良顧客が集まり、現行のセリ方式には残品処理的な意味合いも含み、不安定な客筋になるであろう。懸命な売り手(生産者)はどちらを選択するかは、明白である。
以上、私見でした。想像ですよ。予見ではありません。フィクションです。といったもののどこまでもグレーの部分です。まあ、どのような感想を持とうとそれは皆様の自由ですね。
■オークションの取引システム
オークションには"セリ上がり"と"セリ下がり"がある。
「セリ上がり」とは、
セリ価格を上げて行き最高値をつけたものが優先権を得るというもの。優先権を得たものが、上場される荷物を全部ほしいといえば他の買参人には、その荷物はいかない。これを"まわし"という。残せば順次、残り荷を同じ価格で振り分けていく。これを"マリ買い"という。また、この方式は先に買う側が価格を提示してセリが始まる。
「セリ下がり」とは、
セリ人が最初に価格を提示します。その提示された価格で買う人がいなければ、セリ値を少しずつ下げていきます。そして買う人が現れれば取引は成立です。
以上のようなセリ上がりとセリ下がりの方法があり、結果は数秒で決着します。「あれか、これか」なんて言っている間に一つの商品取引は終わります。だから、前もっての相場観が無ければ勤まりません。
■編集後記
どんなに物流をいじって見ても、おかしなものはおかしいわけでして、時代の一過性として機能してきたシステムも、いつかは消滅します。また、新たなシステムに生まれ変わります。
ところで下の10セクションを良くご覧になってください。現在の流通に必ず顔を出してくるセクションです。消費者まで商品を提供する物流で、絶対にはずせない部分と言う人が必ずいます。果たしてそうでしょうか?各々のセクションで働いている方々、一考してみては。
農政・研究・種苗・経済連・農協・生産・市場・仲卸・小売 そして輸送(物流)最後に消費者です。情報の開示、物流の効率化、小売商と生産者を繋げ、また各階層毎の消費者の要求にこたえるだけの商品確保が出来れば、上記のセクションで必要としない部分はどこでしょうか?じっくりご覧になってみてください。
■花屋の本音トーク
「花市場セリ今昔物語」
威勢の良いセリ人の掛け声でセリが゙始まった。セリ人の差し上げる花を見て、多くの花商が"ヤリ"(指で欲しい価格表示すると思ってください。)をいれる。高値、安値と差し出されるヤリをセリ人は瞬時に読み取り、高値をつけた花商に優先的に売り分けていく。正にプロの成せる業だ。
また、セリ人の思惑通りの価格でないとセリ人は売り惜しみ、「ダメ、ダメ」と首を振る。つまり適正な価格が提示されるまで待つということだ。これを"絞る"といった。次に同じ価格を提示した花商が複数いる場合、セリ人の真価が問われる。セリ人は「出ているよ。」と同じ価格表示の同業者が複数いることを告げるわけだ。
そして、どうしても欲しければ買い手は価格の上乗せを行う。その上乗せが複数の花商で続くと高騰相場となる。あとは売り処の価格で競り落とすかはセリ人の裁量で決る。
また、こんな非現実的な世界もセリ現場では見ることが出来る。どこにでも存在する二大巨頭というような老舗のおやじがセリでバッティングした時だ。これはセリ人泣かせで、二大巨頭双方の意地や見栄を無視するわけも行かず、流れで競わすととんでもない結果がまっている。
絶対に自分のものにしようとする二大巨頭は際限なくセリ価格を吊り上げる。少々の高値ならばそれもよいが、売値を遥かに超えた価格競争になる事がある。もうこうなったら相場なんてあったもんじゃない、買い落とすことに意義が存在する世界だ。
つまり、こういったバカ相場を付けさせないで適当なところで競り落とすことが、そのセリ人の腕となるわけだ。熟練されたセリ人ならば、こんなことはそうは起るものではないが、新米のセリ人がこの状況を作ると正に修羅場である。罵声の連呼で新米セリ人は今にも泣きそうな面になる。
また、こんなこともあった。大狸の老練セリ人は同ヤリが出ていないにも係わらず「出ているよ!」と意思表示するのである。もうお分かりですね。出ていると云われれば、どうしても欲しい買い手は価格の上乗せをしてしまう。
つまり一人相撲を取らされるわけだ。可愛いそうなのは一人相撲をとらされた花屋さんである。はっきり云って違法行為であるが、洒落として許された時代もあった。
次に、こういう花屋は嫌われた。スタート時点でヤリを出さないで、後から上乗せした価格を表示して買おうとする卑怯な手を使う。これを"乗せヤリ"といって同業者に嫌われた。「乗せヤリのマサ」みたいな軽蔑の意味も含んだあだ名を付けられた。価格の引き上げに参加できるのは、最初にヤリを出した人に限られるという暗黙の了解があるからだ。
以上があれもこれも今では懐かしい昔のセリ風情です。
今はコンピューター仕掛けでのセリ機です。
ボタンと押せば買える早押しゲームになっています。また、怖いセリ人もいません。
また、セリ人も怖い花商の親父を相手にせずすみます。そのためか、昨今のセリ人は緊張感がなく、また商品の価値さえ見抜けない大学出のセリ人を見ることがあります。数字とのにらめっこでセリ人が勤まるとは、これも時代の成す業か?
今は冷暖房完備で快適なオークションルーム。お茶を飲みながらピクニック気分誰でも買えますよ。セリ場には若い女の子の声が多く聞こえます。興味のある方は見学されると面白いですよ。
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