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Vol  43
「買参権と花市場」





お花屋さんを始める場合は、当たり前のことですが、なんと言っても売る花を仕入れなくてはなりません。そこでどこから仕入れるか? 

一般的には花市場です。

ところが市場へ行ってすぐに花を買い付けることは出来ません。その前に花を買う権利証がいるのです。これが買参権というものです。この買参権を取得するには、法人を運営している証明や支払能力を証明するもの、そして既存の花屋さんの紹介が必要とされています。これだけの証明をして初めて買参権の交付申請ができるという仕組みです。

また仮に買参権を取得しても、次は花市場で実際の仕入れが待っています。仕入れ現場では競り売りを行う恐いセリ人がいます。そのセリ人から買うのですが、新参者は相手にもしてくれません。でも、安心してください。昨今の大型市場はどこも自動化が進んで押しボタン式の自動せり機みたいなもので競売が行われていますから、機械の操作を覚えれば誰にでもすぐに買えるようになります。

しかし、地方などの小さな市場ですと、昔ながらのセリ人との対面販売です。そのときに必要なのが、符丁といわれる数を隠語で表すという昔ながらの特殊なルールがあります。これはよくテレビなんかで見たことあると思いますが、せり人がだみ声を出して、素人には雑音としか聞こえない風景です。また指も使います。 

たとえば、1はチョーといいます。指でその数字を表す場合は人差し指を立てれば1です。次に2はブリといいます。人差し指を中指でVサインです。3は中指・薬指・小指3本で3です。4は3に人差し指を足せば4です。5はジャンケンのパーです。6は親指だけ。7は親指を人差し指。8は7に中指を足せば8です。9は人差し指を折る。そして10は1と同じです。 

ここで少し疑問が出てくると思います。なぜ1と10は同じサインで位の違いが分かるのかということです。これは、お互い暗黙のコンセンサスというものが、そこにはあるのです。これは経験しないとつかめません。


たとえば普段吸っているタバコ1箱250円くらい。これはタバコを吸う人は常識です。
28円とも2800円とも思いません。これが売る方と買う方の暗黙の価格です。
ところが、競り売りというところは市場原理を顕著に表す場所ですから、ある日いきなり28円になったり、2800円になったりします。この流れを察知するのが相場観というものです。


この相場観は一長一短で取得できるものではありません。商品は全国から入荷しますし、産地は桜前線のごとく変わりますから、市場に上場される荷物をすべて把握して、相場観を養うなんていうことは長年の経験を持つものでも至難の業です。週に一二度セリに参加するくらいでは不可能です。また、ある程度の相場観を養うのには最低でも3年くらいは掛かるのではないでしょうか。


こんな大変なスキルを身につけても、欲しい商品が必ず買える保障はどこにもありません。つまり、依然として仕入れ現場は新参者や素人の入る余地の無いところなのです。
 

また、公平なる不平等がまかり通る所ですから、長く商いをやっている花屋さんにしてもセリという非効率な仕入れ環境で無駄を強いられているのが現実です。ところが現在の大型市場は仲卸という細かく小分けして売ってくれるブースがありますから便利です。ご自分の手で実際に競り落としたいというお気持ちは分かりますが、経営効率からいえば逆作用です。


確かに、セリという特殊な環境は日常では味わえない独特な雰囲気と醍醐味がある世界です。また、自分の希望する価格で他の花商より安く手に入れることも可能です。ある時、いつも100円していた花がいきなり5円や10円でセリ落とされるという仕入れる人間にとって美味しい場面です。そういったゲーム感覚で勝者になった気分も味わえます。


ですが、利益を目的としたご商売からみれば、セリという特殊な環境で仕入れることは数的にも、お店の規模も適応した場合にのみ有効な仕入れ方法です。ところが、現状はどうみても多くのセリ参加者は適応しているとは思えない節があります。ですから、これから花屋さんをお始めになる皆さんは、見学程度で本筋は仲卸をうまく利用したほうが有利だと思います。 

今回はこれで終わりです。
では、次回をお楽しみに。


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■ 編集後記
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花を仕入れる時に大切なのは価格の動きを知る相場観も必要ですが、花自体の出来不出来という質を図る目利きということが、もっとも大切なスキルです。実際に現物を見ながら説明すると良く理解がいただけると思うのですが文字ではこの説明が難しいです。


まあ、文章で表せるとすれば、今が旬の芍薬はつぼみの固いものは避けうるというくらいです。でも、ここで産地や品種で状況が変わりますから、本当に目利きをお伝えするということは困難ですね。


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