花を作って一体幾らくらい儲かるのか。以前より儲からなくなったという話 をよく聞くが、どれくらい儲からなくなったのか、を考えてみます。
どれくらい儲かるか
作る花の種類、いつ出荷するか等で変わります。現在日本で一番沢山作られている菊を例にとって見てみますと、10アール(300坪)当たりで収穫本数が 3万〜3万5千本、販売単価が60円とすると180万〜210万円の売上(粗利)になります。
それに対し経費は、まず生産に関わるものが肥料・農薬・資材等で30万円、冬場の暖房のための燃料費が時期で違いますが20〜40万円、それにハウスや農機具等の減価償却費がこれも色んな条件で違いますが20〜40万円。次に予想以上にかかるのが出荷経費です。
まず運賃が出荷市場までの距離で変わり、遠隔地からの輸送になると1本当たり5〜6円以上(1箱200本入りで1,000円程度)、10アールで15〜20万円くらいかかります。それに市場の販売手数料が普通の場合販売価格の10%を天引きされます。10アール当たりで20万円前後です。
何やかにやで結局120〜150万円差し引きされると、収益として残るのが40〜70万円程度。この中に一番大事な労賃が入っていますが、普通10アールを生産するのに約1,200時間かかります。この残った収益が全額労賃とすると1時間当たりの労賃(いわゆる時間給)が良いときでやっと600円になるかならないか。これが悪いときには400円くらいにしかならない。
今高校生アルバイトの時間給が600〜650円くらいにはなる時代に、大の大人が約半年かけて菊を生産しても時間給がそれにも及ばない。これが現実なのです。確かにケースバイケースで、生産技術の巧拙等による品質格差、出荷時期・出荷先による価格差、更には経営感覚の有無なども関係して、実際には儲ける人とそうでない人は雲泥の差があるのは事実です(販売価格が10円違うと30〜35万円の差が出る訳で、この違いが儲けるかそうでないかの分かれ目でもあります)。
これで、花栽培で儲ける、いや儲けるということまで行かなくても、適正な利潤を得ることも如何に難しい状況にあるかはお分かりだと思います(私たちはこの場合再生産が可能になる価格を確保すると言います。つまり農家が、今年の収益で生計をたて、尚かつ来年の生産に取り組もうと意欲を新たにするような価格)。
もっと問題なのは菊を10アールくらい作っても、それだけでは生活が出来ないことです。今家族4人くらいで生活をしていくためには、1年間の生活費が最低でも200万〜300万円くらいは要るのではないでしょうか。子どもの学校にお金がかかるとするとまだ必要でしょう。菊栽培で生活をしていくためにはどれくらいの面積をこなさなければならないのでしょうか。
自分たちの労賃=収入ということで計算すると、10アール当たりで50万円であれば40〜60アールの栽培が必要となります。普通10アールを生産するのに1人の人が毎日それにかかりっきりになりますので、4人〜6人要る訳です。働き手が夫婦2人しかいない場合は他に2人〜4人雇用をしなければならなくなります。祖父ちゃんや祖母ちゃんが元気であれば良いですが、正式に人を雇うとなると先ほどの労賃がモロに経費となるわけで(自分たちだけの場合は時間給がたとえ500円でも自分が我慢すればよいのですが、人を雇うとなると世間並みを払わないと来てくれません)、利益率が落ちることになります。
もっと収益を上げようと面積を増やすと管理がおろそかになり、品質低下で結果価格が下がることにもなります。こうなるといたちごっこで「じっと手を見る」状態になってしまいます。ことほどさように花作りで儲けることは難しいのです。
昔と比較するとどうか
確かに販売価格の60円が以前はもっと高い時期がありました。年末などは100円或いはそれ以上で売れる事もありました。台風などで被害が出るとえらく高くなったこともあります。反面、状況によっては暴落して10〜20円ということもあります(最近とみにそういうことが多いようです)。従って平均価格で60円というのはかなり高いハードルといえます。
又、最近の傾向で高騰して花屋さんが手に入りにくくなると、すぐに外国からの輸入が急増します。或いは既に輸入が恒常化していて、天候などで少しくらい需給バランスが変化しても価格には影響がなくなってきております。ある意味ではこれまで野菜や花生産はそういう価格の変動性が、生産者の面白み(ばくち性)でもあったのですがその傾向がなくなってきているのが最近の動きなのです。
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