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花の相場 2002/04/24



 「今日の相場はどうだった?」「少し上がったかな?」など花屋さんの間では日常的に、このような会話を挨拶がわりによく使っています。
”利は元に在り”と言われるくらい商売の根幹を成すものですから、業界人すべての関心事のひとつとなっています。



 生産者や出荷団体はその相場動向で売り先(市場)の変更、出荷量の調整、将来の展望を図ります。市場は他市場との集荷という競争に勝ちの残るためにも神経を使います。小売商は販売利益や商品調達に大きく影響を与える相場に一喜一憂します。

 正に三者三様の思惑が入り混じった世界に身を置いている以上避けては通れないものなのです。それほど業界人を翻弄させれるもの。それが相場です。


相場の成り立つ要素は何と言っても需要と供給のバランスです。

どんなに状況が変化しても、このバランスと言う関係が相場を形成する基本軸です。買う人が居なければ安い、売る品物が少なければ高いという基本的なバランス関係です。この基本を忘れて様々な施策で商売に取り組んでも好結果は得られない。




では、生産、流通、販売、購買という流れの中、それぞれのポジションに位置する三者三様の目線で相場と言う生き物に対峙しているかを説明します。

花市場の立場

 花の価格は生産者や出荷団体が希望する販売価格と買い手である花屋さんの希望する購入価格との攻め技合いです。狐と狸の化か仕合です。セリ(競売)価格は瞬間に決まります。「う〜ん・・・?どれにしようかな・・・・?」なんて考えている暇などありません。

購入者にゆっくり考えさせる時間を与えると言うことは売上の低下を意味します。そのためどんな販売方法であれ、急き立てるような環境を構築します。要は購入者に余裕を与えないという考え方です。
仮想インフレーションの設定です。

 
そんな索漠とした世界を仲立ち演出するのが花の卸売市場です。その販売方法のひとつに皆さんも良く耳にされるセリ売りがあります。簡単に説明すると、セリ人と花屋さんの間に売りたい商品を並べてセリ人が「いくらで買いますか・・?」なんて事をいって「じゃあ、いくらで買うよ!」と花屋さんが云えば取引成立です。

まあ、この説明は原始的なものですが、取引には駆け引きが必要です。どんなにセリ方法が近代的に機械化されても基本的には、この駆け引きは昔から変っていません。買うほうも売る方もそれなりの相場観が大切なことは云うまでもありませんね。


 
卸売市場は出荷される花を売って生産者から販売手数料を頂いて経営が成り立っています。判り易く云えば販売代行業です。実質的には通貨というお金を生産者から頂くわけですから生産者がお客様となります。ですからどうしても生産者サイドに重心があります。また一定の率の手数料が収入ですから、より高く売ろうとします。同じ一本の花を売るにしても、高く売ることで手取り(粗利)が違います。



生産者の立場

 まだ、芽も吹かない頃から土壌の管理や温度対策などを考え精魂込めて作った花が採算割れをおこすような価格で売られては大変です。だから、価格の動向はとっても気になります。そう云った意味からも信頼して販売を委託出来るような取引先(市場)を慎重に探します。

 花を上場するまでに様々なコストが必要です。作った花が売れたといっても、それらのコストを充分補えるだけの価格で花市場が売ってくれなくてはなりません。その為、数ある市場の相場を視野に入れながら出荷量を調整して複数の市場に分散出荷をしながら採算割れ防ぐ努力を行います。リスクの回避です。


 また、花業種の中で一番の博打的要素の強いのも生産者です。自らの労働に対して成果としての利益が帰ってくるのは先の話です。要するに結果を手にするまでのレスポンスが遅い。商品を仕入れから1日か長くて1週間で結果を得られる花屋とは大きな差があります。苗を購入して商品として出荷、そして収入というレスポンスに半年、長くて一年という具合です。

多くは説明しませんが、暴落という結果は一年間タダ働きということもあると言うことです。ですから安定を図るために固定価格で販売する相対取引に興味を示すのも理解が出来ます。

 現在は個人で売り先を探すより地区の農協や経済連の担当者が出荷先を決定しているようです。これを共選共販などと言っています。複数の生産者が一つのブランドを作り、そのブランドの傘の下で連帯して販売出荷することです。まあ、このブランド化も多くの問題を抱えていますが、またの機会に書きますね。つまり共同集荷場などに自分の生産物を持って行き出荷先を依託するのですが、消費者や小売商の顔は見えません。しかし、現状では係るコストを思うとこの方法が一番効率であると考えられています。




花屋の立場

 実際に大切なお金を出して仕入れる訳ですから真剣です。いい加減な仕入れは利益の減少とお客さんに対する信用問題にも成りかねません。生産者の希望や市場の目算にそうは付き合ってはいられない訳です。だから、仕入の際には如何に良品を安く仕入れるかが大きな焦点になるのです。

 要は如何に安く仕入れ消費者の納得する価格内で最高の値段で売れるかが、その商売の先行きを暗示しています。ここはどの商売も同じです。高く買って安く売るということは聞いたことがありませんね。

 ところで売れ筋だけで商売を行うと言う理想を唱える人が居ます。なぜ、売れないものまで仕入れて店頭に並べなければならないかということです。聞き様にはもっともな意見です。しかし、それもお客さんの買うものが確実に設定できればと言う前提の理想になります。

 つまり競り売り(セリ)という商物一致という旧態依然で、どう考えても非効率な取引環境が花屋さんに支持されているのは、ここに原因があるのだと思います。消費者は気ままと言うものです。気ままなお客様の動向に対応するためには、その時々で仕入れ物の選択決定出来る競り売りに頼ることになるのです。要するに売れるか売れないか、検討の付かない見込み仕入れに最適な環境を提供してくれるのはセリ売りという取引形態しかないのです。

 競り売りの特徴として変動価格があります。その変動価格の下の部分、つまり暴落した商品を狙うというものです。これも花屋のリスク回避です。 



では、消費者であるお客さんがこの相場と言う生きものからどう影響を受けるかを説明します。


お客様の立場

 卸売り現場で相場が成り立つまでの経緯はお客様には計り知れない場所での出来事です。欲しい花がそこにあるか、購入に至るまでの決断をさせる価格で有るか、そして、満足を与えてくれるだけの商品力であるかが、消費者にとっては、もっとも大切で重要な関心事ではないでしょうか。
 
 生産者がコスト割れを起そうが、市場の手数料が減ろうが、花屋が薄利で売ろうが、ロスを出そうがお客様の満足を獲得できなければ、業界関係者の目算は全てマスターベーションという行為なのです。買う立場となれば当然だと思います。

 ここまで書いてきて各業種が相場に対する取り組みをお解りいただけたでしょうか。そんな中、量販店といわれる花の安売り業者から買い求めている消費者に苦言を申し上げたと思います。


 相場の暴落に良品を一時的に調達することは可能です。しかし、なぜ暴落するかと言うことを考えてください。必要とする人が少ないからです。その中にあなたも居ます。そして次に必要とする時期は他の消費者も必要と言う事実です。そんな時の花の相場は堅調に働きます。


 相場が堅調に成って来ると良品の価格は量販店には手が出せません。そのため季節の旬を過ぎたものか下位等級の商品を調達するしかないのです。産地直で大量仕入れという振れこみで安く仕入れているというのも同じです。大量に下等級を調達しているだけなのです。加工品のように同一規格大量生産と言うことの出来ない生産物は大量に確保すればするほど高くなります。荷を確保すると言う行為がプレミアに成るのです。

しかし、こういった事実を知らない消費者は普段から安さを売りものにしている量販店のイメージは安いという意識がインプットされています。そこで欲しい時に量販店に足を運び安い値札をみて安く買ったと皆さんは思います。

 しかし、そこにある商品は安くあるべき商品なのです。つまりB級品と言うことなのです。しかし、量販店はそういった仕組みは公表しません。当たり前ですね公表すれば売れません。

つまりこういった仕組みを知って皆さんが購入していると言うなら問題はなにもありません。選択の自由です。
しかし、このような仕組みを情報開示しなければ消費者のリスク回避をする方法はないのです。

 本当に良品を安価で提供できるシステムは花流通では今のところ確立されていません。各々の取り組みで安さと言う言葉だけが先行しているようです。事実が追いついていないと言うのが現状です。




ちょっと面白い豆知識

「出始めと出終わりは高い。」

 こんな言葉が花業界であります。説明しますね。
出始めとは、その花が初出荷と云うことです。広大な畑の中からほんの数%の花を出荷する事を意味します。一年間丹精込めて育てた花に値段が付くのです。生産者はその花の相場で一年の出来高を占うわけです。ですから、花市場は相場以上の値段で売ろうとします。「買ってやってくれ〜ぇ」てね。この気持は理解できます。祝儀相場です。買う方もこの先これらの花で商いが出来る訳ですから大事にしなくちゃと思う気持が起ります。

 次に頻繁に花を買っている方はこんな経験無いですか?
「ちょっと前はあんなに日保ちしたのに、今度はちっとも持たなかったわ」てな事を観じた事は?これは何を意味するのでしょうか?答えは「旬を過ぎてその花は時期的に出荷が終わりに近づいている事を意味します。」商業栽培された花は皆さんの庭や路地に咲くころには終わるのです。ですから、2〜3ヶ月は早いサイクルで出荷されています。

 初出荷の頃は一番花といってとても活力のある花なのです。次に2番花・3番花と続き最後は先に栄養分を吸収されいるため活力の乏しい花になる。その為持たなくなると言う事です。もうお分かりですね出終わりは高いの意味が。路地に咲く美しい花たちを見ると遂つい、飾って見たくなるのは誰しも同じ。その為花屋さんにそれらの花を求めに良く来られます。でも、花屋さんはそれらの理屈を知っているため仕入れをしません。みすみす持たないと判っている花は信用上売りたくないのです。ここで疑問が沸いてきます。そんな花なら相場が下がるだろうと思いますよね?

 私もそう思いますが、プロ同士の取引ならそれもわかります。しかしここでこのような説明を読まなけりゃお客さんは判らないでしょう・・・・・?「あれが欲しい、欲しい」と云われれば花屋さんは仕方なく仕入をします。そのような花屋さんが何人も一つの商品に買いを入れます。結果は高騰です。品質は落ちてるのに価格は高い結果になり出終わりは高い方程式が成立します。


ここで正直にダメだよ「持たないよ。やめときな!」と云ってくれる花屋さんは信用しても良いと思います。売れるからといって「ハイ、ハイ。」と云う花屋さんは・・・・・・・?
しつこく云いますね。これらの事を知って貴方が求めるなら選択の自由の域ですから文句は言えません。







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