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HANA見てある記    by 宇佐木やよい




第十五回 ◆冬のブーゲンビレア 5/17/2003

 
  海辺のリゾート地といえば、ハワイにしたってグアムにしたって、ブーゲンビレアの花を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。実を言えば、私はハワイにもグアムにも行ったことがありません。でも、タイやマレーシアでブーゲンビレアを見ると、ううーん、リゾートに来た、という感じがしました。沖縄にもいっぱい咲いていました。
 
 これまで最も印象的だったブーゲンビレアは、12月のネパールで見たものでした。ネパールといえば、ヒマラヤ山脈のふもとの国で、もちろん海なんかありません。しかも冬です。カトマンズとポカラに滞在しましたが、東京並の寒さでした。ヒマラヤのふもとというイメージからいえば、寒さという点では、たいしたことはなかったのですが、南のリゾートに似合うブーゲンビレアとはまるで似合わないわけです。日本では、ブーゲンビレアは園芸書などで温室植物として扱われていて、最高気温が10度C以下になったら室内に入れる、なんて書かれています。
 
 どうして冬のネパールでブーゲンビレアが庭木として、あるいはホテルの植栽で花を咲かせていたのでしょう。すみません。わからないのです。沖縄では、冬もブーゲンビレアが咲いていたと思いますが、ネパールとは気温が違いすぎます。カトマンズもポカラも標高は1,000m前後でそれほど高地ではないのですが、太陽の恵みが豊かなのでしょうか。10年ほど前に訪れた時から、ずっと不思議だったのに、怠け者で、いまだにブーゲンビレアの生育条件や生育範囲など調べていません。まさか夢だったとは思いませんが……。
 
 ヒマラヤは原種の植物が残る、世界でも有数の植物資源の宝庫です。私たちが日常的に目にする植物は、園芸用に、あるいは切り花用に品種改良されたものがほとんどです。チューリップやパンジーなどその最たるもので、菊、カーネーション、バラ、ユリなど身近な植物ほど、品種改良が進んでいます。その反動でしょうか、原生種をその生育地に見に行くツアーも盛んです。
 
 ネパールで見たブーゲンビレアの花は、百年前にはなかったものかもしれません。ネパールに限ったことではありませんが、もともとはその土地になかった植物が受け入れられ、もとからあった植物が失われていく現在の状況は、広い意味での地球環境破壊につながるのではないかと思います。絶滅の危機に瀕している植物は、山野草だけでなく、いわゆる雑草と呼ばれているものが多いのです。雑草といいますが、地球の生態系を支えてきた貴重な生き物ではないでしょうか。
 
 世界中、どこに行っても同じ植物にしか出会えなくなった時、もしかしたら、地球は危なくなっているのかもしれません。



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◆プロフィール 「 宇佐木やよい 」 フラワージャーナリストという肩書きも持っているフリーライター。 花については共同通信でずっと書いているほか、生け花関連誌、園芸誌などでも執筆。
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