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HANA見てある記    by 宇佐木やよい




第十六回 ◆人の心を映す植物 6/10/2003

 
  
 
 熱帯、亜熱帯の地域では、日本で観葉植物と呼ばれる植物たちが、庭木や街路樹に
なっています。赤や黄色い斑入りの葉が美しい様々なタイプのクロトン、ドラセナ類
のほか、花を楽しむジンジャーやヘリコニア、ハイビスカスにブーゲンビレアはいう
までもなく、見たことのない花木や葉っぱがいっぱいです。一つ、一つの花や葉の形
を見ていると、つくづくと自然の造形の不思議さ、面白さを感じます。
 
 でも、そうした植物は、私たちには珍しくても、その土地の人たちにとっては、ずっ
と以前から親しんできた植物です。日本で古くからある園芸植物、アオキやニシキギ
などと同じようなものでしょう。都市でも農村でも、家の周囲にそうした植物を植え
てきれいに整えるのは、どこの国でも同じです。以前にお話したことのある、南太平
洋の国バヌアツの、自給自足に近い暮らしの村でも、家の周りにはきれいな葉の植物
を植えて手入れをしています。決して立派な家屋敷があるわけではありませんが、手
入れの行き届いた植物のある家は生活への慈しみが感じられ、住み心地のよさそうな
印象を受けました。
 
 オランダの中くらいの都市の家は、みんな庭があります。タウンハウスという2棟
続き、あるいは集合住宅でも、たいてい庭がついています。古い住宅ほど、外から庭
が見えるようになっていて、新しい住宅は閉鎖的な感じがします。園芸・花大国のオ
ランダでも、おざなりに植物を植えた庭もあって、どこか寂しそうに見えます。家主
が手をかけ、愛情をかけ、家族の成長とともに年月をかけてつくってきた庭は、植物
も伸び伸びと育っているだけでなく、さまざまな植物がお互いによい関係を持ち、家
と調和がとれていると感じました。
 
 バヌアツとオランダでは、気候も人々の暮らし方も、何もかもまるで共通点はあり
ません。でも、植物から察することのできる、人の気持ち、みたいなものは同じなの
です。
 
 人の暮らしの中にある植物は、自然の中にあるものとはまったく違う表情をしてい
ます。もちろん、園芸種だから、人の手が加わっているから、という理由もあります。
でも、それだけではない違いも見られます。生け垣でも、ただ人の目を遮るためだけ
につくられているようなものは、あたたかみが感じられません。立派な庭でも、暮ら
している人たちが大切にしているのか、庭師任せで家の主には関心を払われていない
庭か、なんとなく感じ取れるような気がします。どちらにしても、植物は季節に応じ
た表情を見せてくれるのですが。どこがどう違うと、はっきり言えないのですけれど、
人と関わった植物は、その関わり方を映し出すように思います。よく、植物に話しか
けるときれいに咲くといいますが、植物たちは人の気持ちを反映するように思うので
す。




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◆プロフィール 「 宇佐木やよい 」 フラワージャーナリストという肩書きも持っているフリーライター。 花については共同通信でずっと書いているほか、生け花関連誌、園芸誌などでも執筆。
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