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HANA見てある記    by 宇佐木やよい




第十七回 ◆南インド・水辺の植物たち 7/7/2003

 


インド亜大陸の一番南、アラビア海に面した側、つまり西側がケーララ州です。ケー ララというのは、土地の言葉で「ヤシの国」という意味だと聞きました。    

ここで観光の目玉の一つがバックウォーター・ツアーです。海からちょっと陸に入っ た湖を船でゆったり、ゆったり巡ります。竹で編んだ屋根のついた木造船は、籐の椅 子が20脚並べられるほどの大きさで、舳先と艫に一人ずついる船頭さんが、竹の竿 で操ります。  


この湖はとても大きくて、入り組んだ形をしていて、でも、広い広いインド亜大陸 では小さくて、インド全体の地図にはのっていません。町からは離れているので、ガ イドブックのコーチンの地図にものっていません。実は、船に乗ってしばらくたつま で、広い川なのだと思っていました。案内役の青年に、この川はどちらに流れている のか聞いて、初めて湖だと知ったわけです。名前を聞きそびれました。  

水面には、ホテイアオイがいっぱい浮かんでいます。紫色の花が咲き乱れている群 落もありました。広い湖で育っているせいか、日本で知っているホテイアオイよりも 大きいようです。岸に近いところには、スイレンやハスもたくさん咲いています。案 内役の青年は子どもの頃、スイレンの花を茎ごと引き抜いて、茎に切り目を入れて鎖 のようにしたネックレスをつくって遊んだと言いながら、実演してくれました。彼は ヤシの葉っぱのブレスレットや風車もつくってくれました。  


ゆったり進む船からは、植物たちがよく見えます。風の音と、竿の水音と、鳥の声 を聞きながら、今年の夏はガーデニングでも水生植物がずいぶん注目されていたこと を考えました。水辺の風景は、心がなごむだけでなく、生命の豊かさのようなものも 感じさせてくれるのだと思いました。植物が生長し、水中の微生物を食べる魚がいて、 その魚を食べる動物がいて、それらはみんな水なしには生きていけないのです。  


背の高いシペラスといった親しみのある植物のほか、細長い葉を水面に垂らすパイナッ プルの仲間や、ごつごつした不思議な実(食べられないそうです)をつけた植物や、海 水の入ってくる場所ではマングローブもありました。熱帯の照りつける太陽の下で、 何もかもが濃緑色の葉を茂らせています。それでも、この岸辺は人が住み、人の手が 入っている農村地帯なのでした。  


ここのホテイアオイやスイレン、ハスは自生しているものらしく、水辺の農村にひっ そりと彩りを添えているような風情でした。




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◆プロフィール 「 宇佐木やよい 」 フラワージャーナリストという肩書きも持っているフリーライター。 花については共同通信でずっと書いているほか、生け花関連誌、園芸誌などでも執筆。
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