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HANA見てある記    by 宇佐木やよい




第二十回 落ち葉のこと 2003/9/30



 ずいぶん前のことですが、ベトナムからのお客様を案内して冬の東京を歩いたことがあります。その方は、葉を落とした落葉樹の姿を、とても不思議そうに眺めていました。ベトナムには落葉樹はないということでした。熱帯には落葉樹はないのだと、その時、改めて認識した次第です。


 私は、落ち葉が舞い散る季節が好きです。かさこさと音をたてる落ち葉を踏みながら、ひんやりした空気の中を歩くのが気分よく、毎日のように散歩をしていたこともあります。これもだいぶ前ですが、ロンドンのハイドパークを散歩していた時、落ち葉を掃除する機械に出くわしました。芝生の上に散らばる落ち葉を、風で吹き飛ばして集めているではありませんか。実に単純な仕掛けなのですが、見る間に落ち葉は突き飛ばされていきます。うまいことを考えたものだと思う一方で、なんだかおかしくなってしまったのですが。


 落ち葉は寝かせて発酵させると、よい堆肥になるそうです。そういえば、広葉樹林の木々は、落ち葉で豊かになったふかふかの土に育っています。そんな落ち葉が、都市ではゴミとして扱われ、あるいはご近所同士のトラブルの原因になるなどと聞くと、やるせない気持ちになります。首都圏のある街では、街路樹の落ち葉で商店街の前の歩道が雨の日など滑りやすくなるというので、葉のある部分をネットでおおっていまったということもありました。植物をバカにしているとしか思えなくて、ひどく腹がたちました。


 日本の生活は物質であふれていますが、決して豊かではないと思うことがしばしばあります。ヤシの木の恵みを余すことろなく生活に役立てているケーララの人々の暮らしを見た時も、モノからは得られない豊かさを感じました。


 落ち葉を集めてたき火をすることさえままならない都市生活、せめて落ち葉や松ぼっくりを拾って、小さなインテリアでも作ってみましょう。


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◆プロフィール 「 宇佐木やよい 」 フラワージャーナリストという肩書きも持っているフリーライター。 花については共同通信でずっと書いているほか、生け花関連誌、園芸誌などでも執筆。
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