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ランといったら、陶器の鉢に仕立てられた大輪の胡蝶蘭やシンビジウム、あるいはあでやかなカトレアをイメージするのでしょうか。それとも、楚々とした風情のシュンランのような東洋ランでしょうか。
オーストラリアの熱帯雨林に行った時、一面緑一色の森を彩るランの花を見ました。頭の上の、大きな木の幹が二つに分かれている所に、しがみつくように咲いていたのです。洋ランには着生するタイプのものがたくさんあります。この光景を見て、着生植物というものの本来の生活環境がよくわかりました。根は着生している木の幹をはっているわけで、水浸しになるのが嫌いなのも当然だと納得しました。
以前にランの専門家の方にお話を聞く機会があり、面白い話をいろいろうかがうことができました。日本で洋ランが一般の人にも知られれるようになったのは、大正年間からなのですが、栽培には温室が必要だったことから、庶民には文字通り高嶺の花でした。一方、東洋ランの栽培は、中国からさまざまな文化とともに伝わり、愛好家たちによって大事に育てられてきた長い歴史があります。このため、日本人にとってランといえば東洋ランの姿が美しいものと感じられるようで、シンビジウムの鉢は東洋ランと同じように仕立てられているというのです。本来、シンビジウムの仲間は花茎が枝垂れるところを、支柱で支えて真っ直ぐに立てます。なるほど、そう言われれば、細長い鉢、四方に広がるシャープな葉のラインも、東洋ランに似ています。
洋ランといっても、もともとはアジアや南米などの熱帯地方の植物で、ヨーロッパの人々が持ち帰って栽培したものです。切り花のデンファレなどのランがタイやシンガポールでつくられているのは、気候が適しているからです。そうした国々では、自然の中でなくても、思いがけないところで木をすみかにしているランに出会うこともあります。自然な姿で咲くランを見るまで、ランの花は人工的な感じがしていたのですが、それは人の世界に連れてこられてしまったランだからなのでしょう。樹木の上で咲くランは、のんびりと柔らかな表情だったような気がします。
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