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日本のバブルがはじけて10年になりますが、経済の世界では元祖バブルとして「チ
ューリップ狂時代」が知られています。よく引き合いに出されたので、ご存じの方も
多いと思います。これは17世紀のオランダでチューリップが投機の対象となり、ジェッ
トコースターさながらに、あっという間に高騰し、あっという間に値崩れした歴史的
事実です。
オランダの球根生産の中心地ハールレムの町の資料館には、当時の狂乱を風刺した
絵画が展示されていました。神話に基づいた絵もありましたが、一番面白かったのは、
チューリップの取り引きにむらがる人々を猿の姿で描いたものでした。最も珍重され
た斑入りのチューリップの畑のあるお屋敷を舞台に、大事そうにチューリップを抱え
る者(猿)、チューリップで大もうけしたらしくご馳走のテーブルを囲む者たち、積み
上げられたお金を勘定する者たちがいます。いい思いをした者ばかりではないらしく、
喧嘩をしている連中もいます。この絵はチューリップ狂時代の直後に描かれたもので、
当時のオランダではチューリップ・バブルの後遺症はずいぶん深刻だったようです。
中央アジア原産のチューリップは、トルコを経て16世紀にオランダに入り、大変な
人気になったといいます。もともと植物の種類が少なかった北ヨーロッパでは、美し
いだけでなく、エキゾチックな花としても人々を魅了したのでしょう。今でも、私た
ちは珍しい花につい気をひかれます。
時に、花は人を狂わすと言いますが、多くの場合、花の生命の不思議、美しさにひ
そむ魔力のようなものが働く、ミステリアスでロマンチックな物語として語られるよ
うに思います。チューリップ・バブルは、その美しさがお金と結びついたことから、
欲望の物語になってしまいました。花の美しさに心を和ませるか、欲望をかきたてら
れるかは、人間の側の問題なのでしょう。
現代のオランダの球根生産地は、春になると、さまざまな色、姿のチューリップ畑
が、まさしく絨毯のようにひろがります。日本でも富山、新潟などの生産地がありま
す。どこで見るのであれ、花をおだやかな気持ちで愛でられる社会が続くことを願っ
ています。
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