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HANA見てある記    by 宇佐木やよい




第二十八回 「シントラの庭」 2004/07/06

 


 ポルトガルで世界遺産になっている街、シントラに行きました。大航海時代にいち
早く世界へ出かけていったポルトガルが、貿易で富を得た時代、このシントラは王様
をはじめ多くの貴族が避暑地とした場所だそうです。リスボンから西に30kmほどいっ
た所の、かなり急な丘というか、小さな山の上に、この街はあります。王様の別荘は、
16世紀に建てられたもので、その後も少しずつ別荘が増え、今ではここに暮らしてい
る人たちもたくさんいます。

 そうした別荘の中には、大きな庭のあるものもあります。その一つは、イギリスの
詩人バイロンが滞在したこともあるという、モンセラート邸です。ポルトガルの力が
衰えた後、世界の海を制覇したイギリスの人々が、シントラに滞在することも多かっ
たようです。

 このモンセラート邸の庭というのが、とても庭とは思えないスケールでしたもと
もと切り立った崖だったのか、急な斜面を降りていく途中にさまざまな植物が生い茂っ
ています。しばらくいくと滝があり、その水が落ちる池には水生植物が咲いていまし
た。少し前に、水生植物を栽培しているところで見せていただいた、ミズサンザシと
いう珍しい植物が、この池に一面に咲いているのは驚きました。

 椿もあれば、ツツジもあり、そうかと思えばメキシコの植物を集めたという一角も
ありました。世界中から集めてきた植物が、こちらには熱帯雨林の樹木、あちらには
メタセコイアの巨木といった具合で、広大な庭園をおおっています。庭といっても、
こぎれいに手入れしているわけではなく、まるでジャングルか森に迷いこんだようで
した。

 現在では、この庭はポルトガルでも重要な植物園として位置づけられているとのこ
とです。いくら裕福な人のお屋敷とはいえ、これだけの庭をつくり、世界中の植物を
個人(持ち主は移り変わっていますが)で集めたわけです。植物というもののコレクショ
ンに情熱を注いだ人たちは、植物に何を求めたのだろうと思わずにはいられませんで
した。


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◆プロフィール 「 宇佐木やよい 」 フラワージャーナリストという肩書きも持っているフリーライター。 花については共同通信でずっと書いているほか、生け花関連誌、園芸誌などでも執筆。
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