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HANA見てある記    by 宇佐木やよい




第三十回 「パリの紫陽花 」 2004/10/11

 久しぶりにパリを訪ねたのが6月のせいか、花屋さんでも公園でも、ずいぶんと紫陽花の花を目にしました。それが、日本の昔風の紫陽花によく似ているのです。

 最近、日本の花屋さんに出る鉢ものの紫陽花は、ハイドランジアという名前がつけられているものも多く、大きな花(本当はガクですが)房をつけたものをよく見かけます。このところ、園芸では西洋紫陽花とか柏葉紫陽花と呼ばれる、白い花を円錐形につけるタイプのものの人気も高まっています。

 これと反対に、パリでよく見たのは、日本で庭木に使われてきたような紫やピンクの、それほど花房の大きくない紫陽花や、地味な感じもする額紫陽花や山紫陽花のようなタイプのものでした。鉢で売られているものも、公園に植えられているものも、妙に見たことあるような姿なのです。

 10年ほど前までは、パリで見た紫陽花といえば、秋の公園にあったおおぶりの茶色っぽい花房のものが印象に残っています。花色は枯れているように見えるのですが、触れてみると乾いているようでもありませんでした。なんだか、とても不思議な感じがしたのを覚えています。

紫陽花は日本が原産の植物で、シーボルトがヨーロッパに持ち帰ったものの一つでもあります。そのほかに、中国を経てイギリスに渡ったものもあるようです。日本で現在、ハイドランジアと呼ばれているのは、ヨーロッパで品種改良されたものを指す場合が多いのです。

 日本では紫陽花があまりにもポピュラーな庭木のせいか、咲いていてもあまり注意を払われていないような気もします。水揚げが悪いこともあり、切り花としてもあまり使われませんでした。でも、梅雨時を彩ってくれる紫陽花がなかったら、この時期の景色はずいぶんと違ったものになってかもしれません。庭や、いつも通る道に咲く紫陽花を、もう少しほめてあげてもいいような気がします。

 庭に紫陽花があったら、一度、切って、いけてみてください。切り口にミョウバンをすり込み、水にも少しミョウバンを入れておくと、びっくりするくらい水揚げがよくなります。一輪でもボリュームがあるので、きれいです。

 梅雨のないパリでは、日照時間の長い時期のかんかん照りの中で、紫陽花が咲いていました。陽射しのきつい中でみても涼しげに感じたのは、日本的な感覚のせいだったのかもしれませんが。



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◆プロフィール 「 宇佐木やよい 」 フラワージャーナリストという肩書きも持っているフリーライター。 花については共同通信でずっと書いているほか、生け花関連誌、園芸誌などでも執筆。
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