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今、うちのベランダには雲竜柳がいます。数年前に、仕事でいけ花の先生に花を
いけていただいた際に、余った花材だったものです。柳はすぐに根がつきますよ、
と言われて、雲竜柳の暴れる枝を育てて、使いたい時に切り取るのもいいなと思いました。
小さな鉢に突き刺した一本の枝は、すぐに根をはり、でも鉢が小さいままだったので
たいして大きくなりません。
時々、枝先を切って友人に届ける小さなアレンジメントに使ったりします。
以前にオランダの海辺の町で、春先の花でデコレーションした車の行列を見ました。
意外にも、そこではずいぶん雲竜柳が使われていました。うねうねと曲線を描く枝の面白みは、
いけ花でも西欧のアレンジメントでも他の花材には代えられないものなのかもしれません。
そのオランダで、一般家庭の庭を見せてもらう機会がありました。道路に面した小さな庭には
球根植物をいっぱい植え、春の訪れを道行く人々と共に楽しむ風情があります。
道路と反対側、人の目には触れない庭は、家族のくつろぎの場所としてさまざまにつくられて
いました。子どもが小さい家では、芝生で遊び回るスペースをつくっています。
大人たちだけの家では、季節ごとの花をふんだんに取り入れて、リビングからの眺めを
楽しむ庭になっています。さらにその後ろには菜園があります。
そうした家の一つで、雲竜柳の立派な木を見たのです。地上2mくらいまでは直径20cmほどの
幹で、そこから上が枝分かれしていて、あのうねうねとした曲線を描く枝がつきだしています。
枝物としてしか雲竜柳を見たことがなかったので、まるで違う植物に見えました。
オランダでは、復活祭の卵をこの木にぶら下げると聞きました。
そういえば、ゴールデンウィークに信州の別荘地を友人と歩いていた時、美しい木に出会い、
近くの家の庭先にいたご婦人に、木の名前を尋ねたことがあります。
「猫柳ですよ、ご存じありませんか?」 枝物として流通する猫柳は、もちろん知っていました。
この木は、オランダで見た雲竜柳と同じように、下は立派な幹で、途中から枝をたくさん
つきだしていて、花屋で見ている猫柳のイメージとは重ならなかったのです。
柳といえば、パリの東端にあるバンセーヌの公園に、何十年も剪定などしていないらしい、
大きな大きなしだれ柳の木がありました。池の縁に立つ柳の大木は、日本ならばさしずめ
お化けの出てきそうなロケーションなのですが、どうもお化けは出てきそうにありません。
長い長い枝を無数に垂らしているので、お化けだって、その枝をかき分けてまで、
こんな柳の下には出てくる気にはなれないだろうという感じです。
日本の柳は適当に剪定され、そよそよと風になびき、いかにもお化けに似合う風情をして
いるなあと、妙に感心したものです。
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